「純粋小説論」(『改造』1935年4月号)は、1930年代前半のプロレタリア文学陣営の解体後に文壇ジャーナリズム内で語られるようになった「文芸復興」に対する横光利一の提言であると共に、自身の「上海」から「天使」に至るまでの「長篇制作に関するノート」としての創作方法(「四人称」の提唱)を披歴するものでした。さらに「純文学にして通俗小説」という横光の「純粋小説」の定義が、戦後の「中間小説」の先取りと見なされたりもしました。
しかし、「純粋小説論」についての議論はまだ尽くされてはいないのではないでしょうか。同時期に書かれた「家族会議」や未完の大作「旅愁」との関わりや、論の中で言及された他の作家・評論家の文章や外国文学の影響、「純粋小説論」発表後の文壇の反応や、戦後における評価など、問題は多岐にわたっています。また、これまで見過ごされてきた新たなアプローチの仕方もあるかもしれません。多くの皆様のご投稿をお願い申し上げます。
(横光利一文学会 運営委員会編集担当)
記
規定:『横光利一研究』投稿規定に準じる
書式:『横光利一研究』「執筆要項」参照
締め切り:2024年10月31日