横光利一について

横光利一 よこみつりいち
1898.3.17-1947.12.30

小説家。本名としかず。福島県生れ。本籍は大分県だが、流離の半生を過ごす。早稲田大学除籍。投稿時代を経て、菊池寛に師事し、1923年、「蠅」「日輪」で文壇デビュー。1924年10月、川端康成、片岡鉄兵らと『文芸時代』を創刊。新感覚派文学運動の旗手となる。『上海』(1932)はその集大成。プロレタリア文学陣営と形式主義文学論争を交わす一方、心理のメカニズムを追究した「機械」(1930)で文学界に衝撃を与える。その後、「純粋小説論」(1935)を唱え、『紋章』(1934)、『家族会議』(1936)で流行作家の道を歩む。渡欧後、西洋合理主義的な知に疑問をいだき、日本精神による「近代の超克」を構想。以後10年にわたって『旅愁』を書き続けたが、未完に終わる。『定本横光利一全集』[16巻補巻1、河出書房新社、1981-99]がある。